達人に会う

空手を始める(6)

「右脳の空手」は元東大教授の先生が、 65歳にして空手を始めた体験を書いたものであるが、 その中で私が25年前に習った先生が独立して一流一派を立てられ、 深遠な武術空手に到達されたことも書かれており、 その境地の高さが伺えるとても刺激に満ちた本で…

空手を始める(5)

太極拳の会を辞めてから、 私にとって十全十美な取り組む対象を求めて、 色々な教室を渡り歩いた。 1年以上学ぶものもあれば、 講習会に参加しただけのものもあった。 自分これまで学んだ太極拳を練習しつつ、 自分の中国語教室の一部として、 太極拳教室も…

空手を始める(4)

30代後半は、 ほぼ仕事と子供のことで手一杯だった。 そして38歳のとき、 このままだと大したことも習得できないまま年をとってしまう、 という危機感が湧いてきた。 幸いその頃は、 不安定ながらも専門学校の仕事などができるようになっており、 余裕が少し…

空手を始める(3)

その後、 昇級審査があったり、 朝練に参加させてもらったりもした。 朝練では先生に組手の相手をしてもらったが、 私のただの闇雲な攻撃は一切当たらず、 出ようとするタイミングに合わせて横蹴りを食らったり、 倒されたりすることが何度もあり、 先生のレ…

空手を始める(2)

メンバーのうち男性の1人は、 消防士を目指している若い人で、 後に本当に消防士になられた。 もう1人はいくつかの空手道場を経て来られた方で、 体格も技も十分に出来上がっている人だった。 この人は後に大会で優勝された。 女性のうち1人はとても練習熱心…

空手を始める(1)

今から25年以上前のこと。 10代から武術に興味があって、 色々体験してきた私が、 30代になって結婚したばかりの頃、 またぞろ虫が騒ぎ出した。 何か武道をやりたいと思い始めたのだ。 仕事に空き時間がある曜日の午後の時間を利用して、 カルチャーセンター…

久しぶりの声

先日久しぶりに、 鵜沼宏樹さんと話をした。 tanglou.hatenablog.com 鵜沼さんは太極拳や気功について、 私の目を開いてくれた最初の師である。 今では年賀状のやり取りをするだけだったが、 太極拳絡みの仕事で、 鵜沼さんから教わった技術を公開するに当た…

伊崎寺

先日来、 滋賀県に行ったことを書いたが、 これは近江八幡の伊崎寺に行ったのである。 ここは千日回峰行大行満の上原行照大阿闍梨様がおられ、 色々ネットで見ているうちに、 どうしても行きたくなって行ってきたのだ。 「経本読誦と御加持」の日で、 岐阜か…

達人の身近な話(3)

これは王向斎という意拳の達人に関する話。 秘静克という年配の女性が目を悪くして、 仕事にも行けなくなったので困っていると、 「王向斎という武術の達人が公園で健康法を教えている」、 とある友人が教えてくれた。 そこで公園に行って見ると、 ただ立っ…

達人の身近な話(2)

また陳発科の話。 呉式太極拳の劉慕三が自分の弟子を連れて、 陳式太極拳の陳発科に弟子入りした。 その弟子の中に楊益臣という人がいて、 その人の弟が思い出話を語っている。 それによると、 この楊益臣の家は当時経済状況がよく、 たびたび陳発科を招いて…

達人の身近な話(1)

ネットや本などで、 中国武術に関する記事を読むことがある。 たまたま読んだ本やサイトで、 有名な達人の思わぬ話を知ることが出来ることもある。 例えば、陳発科という陳式太極拳の達人がいた。 この人が北京に来て太極拳を教えることになった。 当時北京…

日本武術(10)

沖縄拳法についてDVDも出ているが、 最近空手の雑誌「JK FAN」にも山城先生が連載されている。JK Fan (ジェイケイ・ファン) 空手道マガジン 2012年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: チャンプ発売日: 2011/11/22メディア: 雑誌 クリック: 2回この商品を含むブ…

武術家

八極拳を習っている頃、 一度李英先生が教えて下さる機会があった。 若い頃から雑誌やビデオで見ていた達人が、 直々に教えて下さると言うことで、 感激しまた緊張していた。 初めてお会いする李英老師は、 身長は私と同じくらいだったが、 胸板や手足の分厚…

太極拳その後(6)

見学させてもらった 八極拳研究会大阪支部の稽古場所は、 体育館の前の細長い場所だった。 30代男性が3人練習していて、 そのうちの1人はDVDで演武をしている人だった。 その人が指導者で、早速練習を見せていただいたが、 見てすぐ練習している人たちの…

達人に会う(15)

伝説の達人に習えて感激だった講習会も 終わりに近づいていた。 ところが残念なことに、 私は最終日に参加できなかった。 当時私の勤めていた中国語学校で学芸会があり、 中国語劇「西遊記」をやることになっていた。 その中で、私は猪八戒の役をやることに…

達人に会う(14)

1週間の講習会の期間中、 私は八王子のいとこの住居に泊めて貰っていた。 そこから電車に乗って会場の体育館まで行くが、 ある時、新宿駅で 蘇老師と息子さんにばったり出会った。 電車を待って乗り込むとき、 老師はドアの前にさっと移動し、 ドアが開くや…

達人に会う(13)

参加費用が高額だったためだろう。 参加者は、私を含めてわずか6人であった。 私が大阪からの参加で、九州から参加した人もいた。 それ以外は、みんな関東からの参加だったと思う。 参加者はそれぞれ何らかの武術の経験者だった。 拳種は何を学びたいのかと…

達人に会う(12)

1990年「中国武術」という雑誌に、 「蘇いく彰老師講習会」の案内が載った。 蘇いく彰老師と言えば、 日本に中国武術を紹介した松田隆智先生の師匠で、 武勇伝も多い伝説の達人である。 1週間の講習会参加費用が何と18万円であった! 老師は当時ベネ…

通臂拳(4)

私の友人は訳あって所属していた団体を離れ、 個人で練習を続けていた。 套路は知らず、ひたすら12種類ある基本功を練っていた。 また、太気拳も学んだことのある彼は、その技術についても、 自分の知るところのものをいろいろ教えてくれた。 推手という対…

通臂拳(3)

友人が学んでいたこの通臂拳は、 正式には五行通臂拳といい、天津にその伝承がある。 中国武術マニアの間では有名な話だが、 この流派の代表的な人物として、張策という達人がいた。 この人は、日本で言うと大正時代くらいに活躍した人で、 指先で軽く突いて…

通臂拳(2)

通臂という言葉の意味について、 うろ覚えの伝説だが、かつて本で読んだことによると、 中国の奥地に幻の猿がいて、その猿が通臂だという。 通臂というのは、 左腕と右腕がつながっていることを言う。 その猿が右腕を伸ばすと、左腕が縮む。 逆に左腕を伸ば…

通臂拳(1)

サラリーマン生活に終止符をうった私は、 実家の大阪に帰ることになった。 それとともに3年近くお世話になった新体道にも、 縁遠くなってしまった。 大阪に帰ってきた私は、 アルバイトをしながら中国語の教室に通っていた。 ある日、その教室で、 偶然中国…

達人に会う(11)

心身開発体操であった新体道であるが、 もとは松涛会空手を中心とする武術である。 青木先生については、 ヨーロッパ空手チャンピオンが立ち合って、 青木先生には手も足も出なかったとか、 フルコンタクト空手の道場破りを一蹴した、 などの話を聞いていた…

達人に会う(10)

思えば、大学時代に私はすでに新体道を知っていた。 大学には新体道棒術部というのがあり、 キャンパスで練習しているのを何回か見ていた。 白い道着で大声で走り回る姿を見て、 異様に感じて近寄れなかったが、 当時私が少しだけ所属した中国武術研究会は、…

達人に会う(9)

新体道には、ほぼ3年お世話になった。 青木先生の著書を読んでそれなりに理解したつもりでも、 実際、道場で教わるとおり動いていて、 自分がどういう事をやっているのかよくわからなかった。 ただ、続けているうちに、 身体や気持ちに変化が現れてくるのが…

達人に会う(8)

中国武術と合気柔術を体験した後、 大学時代には武術との縁がなくなって、 ごく普通の学生時代を送った。 が、サラリーマンになって数年後、仕事に対する悩みや 自分自身の対人関係に関する行き詰まりを感じるようになった。 それに対し、何か汗をかくような…

達人に会う(7)

当時の佐川道場には、 当時の私と同年代の人も数人おられた。 学生や柔道整復士を目指して勉強しておられる方だった。 ただ、全般的には年齢が上の人が多く、 教師など教育関係の方が多かったように思う。 当時の月謝は、確か月3000円だったと思う。 「…

達人に会う(6)

情けなく恥ずかしいことだが、 あっという間に佐川道場を辞めた私には、 もうあまり書くべき事は残っていない。 それでも断片的に覚えていることを書くならば、 私が覚えている限りでは、 佐川先生が道着を着ておられる見たことがなく、 洋服でカーディガン…

達人に会う(5)

見学を経て、後日佐川道場への入門を許されたのだが、 佐川先生の技は驚くばかりで、 全く異次元のものにしか見えなかった。 当時80歳を越えたばかりだった佐川先生の合気柔術の技は、 類書に書かれているように、相手を無力化して投げるのだが、 その無力…

達人に会う(4)

以前の中国武術専門雑誌「武術」の後書きに、 佐川先生の道場を探す話が載っていたが、 私も同じようなことをした。 まず小平市に行く。 次に電話ボックスに入り、 小平市の電話帳を見て、佐川先生の名前を探す。 あった! で、住所を手帳に書く。 あとはそ…