達人に会う(8)

中国武術合気柔術を体験した後、
大学時代には武術との縁がなくなって、
ごく普通の学生時代を送った。
が、サラリーマンになって数年後、仕事に対する悩みや
自分自身の対人関係に関する行き詰まりを感じるようになった。
それに対し、何か汗をかくような発散するような、
さらには行き詰まりを打開できるようなことをやりたくなった。
いろいろ調べた結果、当時注目されていた新体道に興味を持った。
創始者である青木宏之先生の著書を読み、
また、実際にどんなものか見てみたいと思った。
ちょうど、デモンストレーションを見られる機会があった。
行くと、合気道や健康法や様々なデモの他に、
青木先生が出て来られ、演武された。
合気道創始者植芝盛平翁の言葉とされる、
「対すれば相和す。」より進めて、「最初から合っている。」
として技を展開された。
有名であった「遠当て」も見られたが、
最後に会場に見に来ていた私たちも参加して、
瞑想してから新体道の技をおこなうというものであった。
意識を自分の足の下、地中深くに持って行き、沈める。
その後、身体を開き、大きく声を出して覚醒する。
内省的な瞑想だけではなくて、覚醒もダイナミックなのが、
当時の行き詰まった心境であった私にぴったりだった。
もはや私は新体道を習いに行くつもりになっていた。