達人に会う(6)

情けなく恥ずかしいことだが、
あっという間に佐川道場を辞めた私には、
もうあまり書くべき事は残っていない。
それでも断片的に覚えていることを書くならば、
私が覚えている限りでは、
佐川先生が道着を着ておられる見たことがなく、
洋服でカーディガンを羽織っておられた。
肩には全く力が入っておらず、
肩から腕がすとーんと落ちている感じがする。
全身は重心がずっと下に落ちていて、
横で見ていると、ずしっとした重荷を感じる。
ある先輩が合気道入り身投げのような技をかけているとき、
「本気で相手を倒そうと思い、
倒れるのだと思って技をかけないといけない。」
と注意されていた。
剣術の練習をする時間になると、
その段階に至っていないものは道場にいてはいけないので、
帰ることになる。
通常の稽古が終わって帰る際には、
よく武道の道場でやるように、ぞうきんがけをして帰る。
木村達雄先生や田口鉄也先生のことは印象深く覚えているので、
次回はそのことについて書こうと思う。