達人に会う(9)

新体道には、ほぼ3年お世話になった。
青木先生の著書を読んでそれなりに理解したつもりでも、
実際、道場で教わるとおり動いていて、
自分がどういう事をやっているのかよくわからなかった。
ただ、続けているうちに、
身体や気持ちに変化が現れてくるのが
徐々に感じられるようになった。
新体道は、武道と言うより心身開発体操と言われるが、
なるほどそうなのだな、ということが少しわかった。
とにかく身体はヘロヘロになるほど、
徹底的に酷使される。
例えば、独特のウサギ跳び(開脚前進という。)や、
ジャンプ(斜め45度上方に向かって身体を開いて飛ぶ)、
他にも様々な動きを学び、何回も繰り返す。
それら全てに広い空間をイメージして大きく動くようにする。
「栄光」や「天真五相」という型をやるときには、
普段日常では決して出さないような大きな声を出す。
そういうことを散々やって、稽古を終えて帰るときには、
不思議と何か晴れ晴れとした気持ちで、
颯爽と心地よく歩いている自分を発見するのだ。
もし、引きこもりの人で、状況を何とかしたいと考えていて、
可能であるならば、新体道をやってみられればよいと思う。
続けられれば、ある意味、
これは大変直接的で優れたセラピーであるとも思うからである。