達人に会う(13)

参加費用が高額だったためだろう。
参加者は、私を含めてわずか6人であった。
私が大阪からの参加で、九州から参加した人もいた。
それ以外は、みんな関東からの参加だったと思う。
参加者はそれぞれ何らかの武術の経験者だった。
拳種は何を学びたいのかと老師が尋ねられた。
ライターの野村さんだけ蟷螂拳希望だったが、
それ以外の5人が八極拳の学習を希望したので、
八極拳の講習会となった。
1週間の講習会といっても、
朝から晩まで練習するのではなく、
夕方から学校の体育館に集合して行われるのである。
肉体的にもハードだったが、
あこがれの達人から習える感激で、それも感じなかった。
内容は主に、蘇老師が創られた金剛八式と小八極であった。
今では武壇の有名な先生方の動きを映像で見ることも出来る。
蘇老師の動きはやはり独特の風格があった。
特に私にとって印象深いのは、
動いたときの体の淀みの無さである。
足を踏み込んだ反発力が、
そのままダイレクトに拳に一気に届く感じだ。
爆発したときの勢いも筋肉的な力みが感じられないのだ。
そうした動きやちょっとした立ち居振る舞いも、
何か常人とは異なる雰囲気があった。