達人に会う(15)

伝説の達人に習えて感激だった講習会も
終わりに近づいていた。
ところが残念なことに、
私は最終日に参加できなかった。
当時私の勤めていた中国語学校で学芸会があり、
中国語劇「西遊記」をやることになっていた。
その中で、私は猪八戒の役をやることになっており、
最終日はちょうど学芸会の日だったのだ。
その学校で、私は事務局で働きつつ講師もやっていた。
その私が学芸会を休むわけにはいかなかったのだ。
その訳を老師に話すと、
猪八戒をやると言うところで大笑いしていた。
参加者の中で、ライターの野村さんの動きは、
正確できれいだった。
中国武術の基礎があるように見えた。
また、参加者ではないが、主催者の末吉さんという人は、
キックやカポエラ、古流武術や修験道
もちろん武壇系武術の経験者で、
その動きはやはり普通とは違う修練のほどを
うかがわせる動きだった。
この人は、ベネズエラまで蘇老師を訪ねて
講習会を開催したし、
台湾では劉雲樵老師にも会った行動の人であった。
とにかく、たいへん貴重なものを学んで、
興奮さめやらぬ私は大阪へと帰ったのであった。