通臂拳(4)

私の友人は訳あって所属していた団体を離れ、
個人で練習を続けていた。
套路は知らず、ひたすら12種類ある基本功を練っていた。
また、太気拳も学んだことのある彼は、その技術についても、
自分の知るところのものをいろいろ教えてくれた。
推手という対人練習についても、かなり研究していた。
彼の中国人の師匠の動きは、
まさに達人と呼ぶにふさわしいものであった。
彼自身は達人ではなかったが、その感性と努力で、
私には彼の動きも相当レベルの高いものに見えた。
したがって「達人に会う」わけではなかったのだが、
私にとって影響の大きい出会いであった。