達人の身近な話(3)

これは王向斎という意拳の達人に関する話。
秘静克という年配の女性が目を悪くして、
仕事にも行けなくなったので困っていると、
「王向斎という武術の達人が公園で健康法を教えている」、
とある友人が教えてくれた。
そこで公園に行って見ると、
ただ立っているだけの練習であったが、
参加初日から効果が見られたので驚いて学び始める。
この秘静克はその後目も良くなり、
さらに深く意拳を学ぶようになり、
ゆくゆくは王向斎の代表的な弟子の1人となるが、
細かく自分が学ぶ過程や様子を書き残している。
例えば、
同じく意拳を学ぶ年配の女性3人と仲良くなるが、
その女性たちとやたら先生に質問したり、
陰で先生の悪口を言ったり、先生を疑ったりしたらしい。
そうしたことが結構正直に書かれていて面白い。
王向斎と言えば、意拳・大成拳の創始者で、
やはり日本の武術愛好家には神様のような達人である。
そんなすごい先生に習える幸運にありながら、
近所のおばちゃん連中が文句を言いつつ学ぶ様子は、
もったいないことでもあり、かつ少し笑えることでもある。