時宗

高橋克彦時宗」を読んだ。

鎌倉時代の執権北条時宗が主人公だが、

4巻あるうちの前半2巻は、

時宗の父の北条時頼が主人公と言える。

時頼が執権となってから、

幕府内部の謀反などの問題や、

朝廷とのいざこざなどを、

その頭脳と人格で乗り越える様が描かれ、

ヒーロー像が際立っている。

時宗といえば元寇で有名で、

突然蒙古が攻めて来たと思っていたが、

時頼の時代から情報はあったようだ。

3巻からの時宗時代も、

時宗の能力が発揮されるのが描かれる。

周辺の人物たちの活躍も面白い。

日蓮のことも描かれるが、

元寇を神風頼りに描いていないのも、

好ましく思える。

主に会話のやりとりで話が進む。

読み始めて4巻まで一気に読み進ませる、

内容の面白さと作家の実力が、

十分に感じられる小説であった。