風雲急を告げる状況

先日の朝、犬の散歩の後走った。
淡路島旅行に行ってからというもの、
少々気持ちがゆるんでいた。
当然2,3日走らない日が出来てしまったし、
食事も普通の食事を取ってしまっていた。
それまでは少し節制していたのだ。
走り始める前、
「今日は距離を抑えて走ろう。」
という考えが頭をよぎった。
それに従っておけばよかった。
実はこういう直感はよく当たるのだ。
しかし、走り始めると快調で、
つい10キロコースを選んでしまった。
5キロの折り返し地点のあたりで、
突然下腹部のあたりが痛み出した。
とても走ることが出来ず、
ゆっくり歩いて帰りのコースを辿った。
10分ほど歩くと、
今度はその痛みが猛烈な便意に変わった。
それからは地獄であった。
近くに公衆トイレなどはない。
「いっそ道路わきの草むらで!」
と何度思ったか知れない。
しかし、散歩する老人が何人もいて、
とてもそんなこともできない。
結局、そろりそろりと歩いて、
コースの残り4分の1くらいにあるローソンに入った。
「すみません、トイレ貸してもらえますか?」
と言うと、若い男性店員がにこやかに、
「いいですよ。どうぞ。」
と言ってくれ、まさに地獄に仏であった。
用を済ませると、
まるで嘘のように痛みは消え、
身体は羽が生えたかのように軽く感じられた。
小銭などは当然持っておらず、
何も買うことなく店を出る際に店員に、
「ありがとう」
と声をかけると別の店員が、
「ありがとうございます。またご利用下さい。」
と言っていた。
その「ご利用」はどういう意味だろうと考えながら、
感謝しつつ、また教訓を肝に銘じつつ私は帰路についたのだった。