遊星ハグルマ装置

朱川湊人氏の「遊星ハグルマ装置」を読んだ。

笹公人という歌人との合作である。
この人は、以前日経新聞で朱川氏の作品を評価する文を書いていた。
お互い共感するものがあったのだろう。
短編小説と短歌が交互に出てくるという変わった作りで、面白い。
表紙の絵や紙質も私の子供時代を思わせる感じになっており、
こちらもいかにも凝っているなという印象を抱かせる。
内容は、コミカルなもの、しみじみするもの、怖いもの、いろいろある。
私は「ラビラビ」や「不都合な真実」などが特に好きだし、
「子供部屋の海」では、
自分も子供の頃こうした遊びをやっていたのを思い出した。
「あなたの、古い友だち」では、私もうちの子供が恐竜の本を見ていて、
自分の子供時代と恐竜の名前が異なっているのに驚いた経験がある。
「ニセウルトラマン」は、面白くてほろりとさせる。
短歌の方も、作者の世代は私とは少しずれるが、
感覚は近いものがあると思えて、懐かしい感じがする。
この朱川氏の最新作は、
まさにおもちゃ箱のようにいろいろな話が入っている秀作である。