主夫のトモロー

朱川湊人「主夫のトモロー」を読んだ。

主夫のトモロー

主夫のトモロー

久々の朱川作品である。
美術雑誌を出している出版社に勤めていた主人公が、
作家を目指しつつ家事と育児をこなし、
働く奥さんを支えつつ奮闘するストーリー。
私より先に読んでいた家内が、
「これ、朱川さん自身の話じゃないの?」
と言っていたが、まさにそう感じた。
朱川氏自身の最初の勤めは美術雑誌社だったし、
公務員の奥さんが働き、
氏は小説を書きつつ家事をこなしていた。
後の家電量販店勤務もそうである。
ただそれよりも、
この作品を読んでいて子供が小さかった頃を思い出した。
寝かしつけるのに、
自分が眠るように呼吸を合わせるのは本当にそうだ。
寒いときは子供の足を温めつつ、
呼吸を合わせて寝かしつけたものだった。
私は主夫でこそなかったが、
子供を公園で遊ばせるときの、
他の子供とのかかわりなど、
楽しいことや悔しいことなど、
思い出されることがたくさんあった。
現実的な話の中で、
深刻なものや笑えるもの、
さらにホロリとくる話など、
内容の濃いほのぼのした小説である。