加門七海「着物憑き」を読んだ。
怪談はさほど多くない。
着物や付随する身につけるものに関する情報量がすごい。
言葉の意味すら知らないものがたくさん出てくる。
生徒さんたちに聞いてみると、
案外詳しい方が数人おられた。
思えば私も柔道着や空手着や剣道着は着たことがあるし、
在家得度のときの僧衣や山伏体験のときの山伏装束など、
着物を着たことがあるのを思い出した。
もちろん女の人が着るものとは比較にならないが、
結婚式の時の羽織袴もそうだ。
特に印象深いのは居合を習ったときの帯の結び方だ。
中央に帯が十字になるように結ぶのだ。
よくこんなことを昔の人は考えたものだと思った。
「着物憑き」の内容に戻ると、
もちろん怪談話もある。
私が好きなのは後半に出てくる、
親戚のおばさんがおばあさんの振り袖を勝手に持っていく話だ。
怖いような痛快なような話である。