夢枕

「夢枕に立つ」ということがある。

父が亡くなってからしばらくして母が、

「なかなか夢枕に出てこない」

と言っていたことがある。

半年ほど経ってから出てきたそうである。

そんな話を私の教室の授業でしていたら、

ある生徒さんが話してくれた。

高校生の時におばあさんが亡くなったそうだ。

初めての身内の死で生徒さんはショックを受けていた。

しばらくしたある朝のこと。

いわゆる半覚醒状態らしく、

寝ているのか起きているのかはっきりしない夢うつつで、

おばあさんが白い車に乗って家に着き、

白い着物を着た姿で家に入ってきて、

「ただいま」と言ったそうだ。

生徒さんもごく当たり前のように、

「おかえり」と言ったらしい。

その後はっきり目が覚めて驚き、

おかあさんに話すと、

孫のショックを和らげようと出てきたのではないか、

ということになったという。

ちょっと面白い話であった。