白シャツ

毎朝4時に起きて犬の散歩に行く。
外は真っ暗で、
新聞配達の人としかすれ違わない。
時々出勤する人や散歩する人に出会うこともあるが、
こう寒くなると、それもまずない。
ところが今朝、
薄着の白シャツで走る人とすれ違った。
筋肉質の立派な体格の人で、
しっかり力強く走っていたが、
あまり走り慣れていない感じであった。
初めて見かけたので、
この人も走り始めたのだな、
と自分の走り始めた頃を思い出して歩き続けた。
そのわずか数分後、
小学校の門の近くを通りかかったとき、
男のうめき声と砂地を引きずるような音がした。
何事か?!
驚いて暗い中、目をこらしていると、
小学校の鉄門に足を引っかけて腹筋をしている人がいた!
何をするんだと思って見ると、白いシャツを着ている。
さっきの人かとも思ったが、
そうだとすると、走るのがあまりに速すぎる。
瞬間移動でもあるまいし、あり得ないことだ。
そのまま少し歩き続けると、
またさっきの走る白シャツとすれ違った。
やはり別人だったのだ。
しかし、何だろう?
朝4時から白シャツで身体を鍛えるこの2人は?
不気味かつ滑稽なこの現象に疑問は深まるのである。