命もいらず名もいらず(明治篇)

山本兼一の「命もいらず名もいらず(明治篇)」を読んだ。

命もいらず名もいらず 下 明治篇

命もいらず名もいらず 下 明治篇

以前も書いたが、
大森曹玄「山岡鉄舟」を何度も読んだせいで、
山岡鉄舟についてはおおむね知っていた。
特に、剣・禅・書に関するエピソードは、
強く印象に残っている。
ただ、今回のように小説という形で味わえるのは臨場感である。
今回「幕末篇」と「明治篇」を読んで、
特に「前編」で印象に残ったのは、
山岡静山の槍の稽古の描写であり、
思わず自分も身体が動きそうになる感じがした。
そして、上下巻通じて感じたのは、
この時代には無茶で無軌道な人が多いこと、
彰義隊への説得工作などで見られるように、
頭が固く思い込んだら命がけの人たちを相手にすることの大変さ、
である。
さらに、酒量の多さも大変である。
鉄舟が晩年になって、身体に異常を感じるようになっても、
毎晩3升は飲んでいたらしく、
酒9升を飲んだこともあったらしい。
今回の小説でそうしたことを、
リアルな感覚を持って味わうことが出来た。