背負い富士

山本一力「背負い富士」を読んだ。

背負い富士 (文春文庫)

背負い富士 (文春文庫)

清水次郎長の話である。
考えてみれば、
私は清水次郎長についてほとんど知らなかった。
かつて子供の頃に、
竹脇無我がやっていたドラマを見たことがあり、
山岡鉄舟とのエピソードを本で読んだ程度であった。
今回どういう人なのかがやっとわかった。
町人の人情を描くのが上手い山本一力だが、
この小説では博徒を書いたことになる。
相変わらず読みやすい文体はありがたい。
まるでドラマを見ているようであった。
森の石松の凄絶な格闘シーンや、
次郎長による石松の敵討ちなど、
山本作品には珍しい激しい場面が多かった。
読みやすくかつ読み応えのある小説であった。