画竜点睛

留学生対象の授業で、
「画竜点睛」という言葉が出てきた。
龍の絵を描いて最後に目を描き入れて完成させる、
という中国の故事成語である。
簡単に言えば、
「最後の仕上げをきっちりやって完成させる」
というような意味である。
しかし実際には日本では、
「画竜点睛を欠く」
と言って、
「最後の仕上げをせず完成できない」
という意味でよく使われる。
ところが中国語ではこの意味では使われないらしい。
この場合、使われるのは
「功虧一簣」
と言って、
「九仞の功を一簣に虧く」
のもとになった中国の故事成語である。
「九仞」という非常に長い長さの単位で表現される高い山を、
「簣」という土を運ぶ籠に乗せて1つずつ積み上げるが、
最後の一簣を積み上げず完成できないことを言う。
私はこれまで「一簣」を「一気」だと思っていた。
このように授業で予想外の展開によって、
自分の思いこみを正されることがままある。
面白くありがたいことである。