佐江衆一「動かぬが勝ち」を読んだ。
- 作者: 佐江衆一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 単行本
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私が気に入ったのは、
表題作である「動かぬが勝ち」と、
最後の「永代橋春景色」である。
「動かぬが勝ち」は、
昔から剣術が好きだが、
生きるために出来なかった商家の主人が、
50を過ぎて道場に通い始め、
奉納試合に出場する話である。
他人事とは思えない設定に加え、
穏やか日常でありながら、
苦心しつつ向上する様を描いているのが好ましい。
「永代橋春景色」は、
ヤクザの用心棒に身を落とした武士が、
1人の子供の登場によって、
やり直そうとする姿が良い。
他の作品も終わり方はともかく、
江戸情緒が随所に描かれているのがとてもいい。
江戸時代を味わえる作品集であった。