- 作者: 佐江衆一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1992/09
- メディア: 単行本
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神道夢想流杖術の創始者が主人公である。
この作家は浅山一伝流を学ぶ人らしい。
それだけに術技の描き方は詳しい。
この小説がどの程度まで史実に基づいているのか、
私にはわからない。
しかし、
この小説の権之助は面白い人物である。
天賦の才能があり、
兵法天下一を目指して諸国に修行に出る。
だが、よく負けている。
若い頃、船曳杢之助という武士に負け、
小野派一刀流の小野次郎右衛門、
馬庭念流の樋口又七郎定次、
真田の三好清海入道に負ける。
そして有名な宮本武蔵には2回負けている。
それでも負けた相手から学び、
自分の技量を高めていく。
杖術として一流一派を立てる頃には、
様々なとらわれやこだわりがなくなり、
人格的にも大きく成長している。
特に晩年の宮本武蔵との交流は、
殺伐とした時代にあって心和む話である。
読み終わって感動できる、
とてもよい小説であった。