境地

ヒクソン・グレーシー無敗の法則」を読んだ。

ヒクソン・グレイシー 無敗の法則

ヒクソン・グレイシー 無敗の法則

この人は、グレーシー一族最強と言われ、
400戦無敗と言われた柔術家である。
それほど詳しいわけではないが、
何度かテレビでこの人の試合を見た。
試合前に山に入って自然の中でトレーニングするなど、
普通の人とはかなり異なる人だとの印象もあった。
そして今回、
この本を読んで精神的にも深いものを持っている人だと知った。
特に印象深かったのは、
動物の動きを取り入れたヨガの修行についてのくだりである。
先生から動物になりきるよう指示され、
その最中に先生に用事が出来て、先生はその部屋を出た。
ヒクソンはそのまま動物になる修行を続けているうちに、
完全に何も考えない動物になりきってしまい、
1時間以上もその精神状態のままでいたという。
部屋に戻ってきたヨガの先生がそれを発見し、
涙を流して感動したとのことである。
よくビジネスやアートなどの世界で成功を成し遂げた西洋の人が、
「禅の境地に達した」とか「無の境地に至った」、
などと書いた物を読んだことがあるのだが、
その本の内容から見て、
とてもそんな境地に達した人とは思えないものばかりだった。
ところが、このエピソードを読んだことで、
ヒクソン・グレーシーは少なくとも「無の境地」に触れ、
おそらくそれをトレーニングや試合にも表現できた人なのだ、
と思えた。