餃子修行

数年前、専門学校の生徒を引率して北京に行ったとき、
研修先の大学の門のすぐそばに、
あまりきれいとは言えない小さい軽食店があった。
メニューは餃子や焼売、スープなど数種類しかなかった。
主人は杭州出身とのことであったが、
なにしろ素晴らしくおいしかった!
皮はわりと普通だし、
具も特に変わった材料を使っているわけでもなさそうだった。
やはりそのおいしさは秘伝の味なのだろう。
専門学校の北京研修は毎年2月の最も寒い時期だった。
毎回風邪をひいてダウンする生徒が出たのだが、
そうした生徒に付き添って、
日中友好病院まで行くのは恒例行事だった。
その年も数日ダウンしていた生徒が回復して、
その店に連れて行って餃子を食べさせると、
感激して「ああ、中国に来て良かったあ!」と言ったものだ。
それほどおいしかった店だが、
建築ラッシュの煽りを受けて立ち退きにあい、
主人は杭州に帰ってしまったとのことだ。
しかし、私はそれ以降、
何とかおいしい餃子を作ることに情熱を燃やしている。
餃子の作り方を数人の中国人に教わったし、
一時期は、二週間に一度は餃子を作っていたので、
家族は閉口していた。
自分ではまあまあのものが出来るようになったように思うが、
北京の店の感激を思い出すと、まだまだだなと思う。