長英逃亡

久しぶりにちょっと重い小説を読んだ。

「長英逃亡」である。

 

長英逃亡

長英逃亡

 

 生徒さんに勧められて読んだのである。

高野長英は幕末の蛮社の獄で死んだ蘭学者である。

名前だけは歴史ドラマなどで知っていたが、

詳しく知ったのは今回が初めてだ。

読んでいてつくづく時代を先取りした不運の人と思った。

シーボルトの弟子で群を抜いて優秀だったが、

国を啓発するような本を書いて幕府につかまる。

脱獄したことで追われる身となるが、

その逃亡生活が緊張の連続で読むほうも大変だ。

ただ救いは逃亡先の各地方で手助けしてくれたり、

匿ってくれる人が大勢いたことで、

その人たちが自分も罪に問われることも顧みず、

長英を救おうとする姿が現代人とは違うものを感じさせる。

久しぶりに重厚な作品を読んだ気がした。