いちば童子

朱川湊人「いちば童子」を読んだ。

いちば童子

いちば童子

これはkindle版でのみ読める作品である。
大阪万博の頃の大阪の商店街を舞台にした、
朱川作品独特の不思議な世界を描いた作品である。
短いが当時の大阪が、
目の前に広がるかのようなリアル感がある。
特に匂いに関する描写は何とも言えない。
匂いで過去の記憶がよみがえることが、
私にもたびたびあったが、
この作品を読んでいるだけで、
それがまたよみがえる気がしたものだ。
作品で使われる大阪弁も、
本当の大阪弁で違和感がない。
懐かしくほのぼのした、
いかにも朱川作品らしい小説であった。