東京難民

福澤徹三「東京難民」を読んだ。

東京難民(上) (光文社文庫)

東京難民(上) (光文社文庫)

生徒さんからお借りして読んだのだが、
貸してくださるとき、
その生徒さんがあまり読み心地は良くない、
というようなことを言われた。
まさしくそうであった。
一言で言えば、
大学生の転落人生を描いたものである。
とにかく次々に不運が襲ってきて、救いがない。
しかしある意味、一つ間違えば、
誰にでも起こりうる怖さがあると思う。
主人公には最後の一線を踏みとどまるだけの良心はあるが、
本人の考え方や生きる姿勢が招いた不幸だとも言える。
現代日本社会の一面を描いた作品であるが、
真面目にしっかり生きていこうと思わせてくれることが、
よかった点かもしれない。