見える人(3)

その「見える」生徒さんは、
私についてもいろいろ教えてくれたが、
それはまずまず納得のいくものであった。
日頃の私の言葉や表情や行動から読み取れるものではない、
私にしかわからない事についても、
いくつか指摘してくれたからである。
しかしながら、
その生徒さんはその後しばらくしてから、
教室に来られなくなってしまった。
お勤めの会社の社長が、
会社の金を持って逐電してしまったからである。
ご主人と一緒に自分たちで会社を始めることになり、
中国語を学ぶ余裕がなくなってしまったのだ。
その「見える」能力も自分に対しては使えないようで、
残念なことであった。
便利なようであるが、
なかなかままならないものである。
もう1人の「見える人」については、
いずれまた書くつもりだ。