40

石田衣良の「40 翼ふたたび」を読んだ。

40 翼ふたたび (講談社文庫)

40 翼ふたたび (講談社文庫)

この作家の名前は友人の朱川湊人氏から何度も聞いていた。
読むことがなく今まできたが、
先週生徒さんが「なかなかいい」と持ってきてくださった。
40代を迎えた主人公が起業して、人間らしさを取り戻す話である。
読んで、「なるほどこの人の作品は人気が出るわけだ」と思った。
登場人物がいかにも現代に生きている人であるかのようなリアリティがある。
特に、子供の送り迎えの事業をするオタクの描写などは、
実際に会ったわけでもないのに、
「こんな人いるだろうな。」
と笑ってしまう。
また登場人物のほとんどが、クセはあっても基本的にいい人なのである。
現代人のつらい状況はあっても読んでいて重くなることがなく、
最後に安堵感がある。
我が身に置き換えて共感できるところも多くある。
もはや50に近づいている私だが、
生徒さんの言われるとおり、なかなかいい作品であった。