前田さんのこと(6)

前田さんの治療院に父を連れて行くと、
まず父はうつぶせにされ、
前田さんは父の背骨に沿って指を当てた。
そうしながら、
「何歳代から何歳代まで、
肺を酷使するようなことをしましたね?」
というようなことを言った。
それは父がヘビースモーカーだった時分であった。
他にも、前田さんの述べる指摘が、
ことごとく父に思い当たることがあったので、
父はすっかり感服してしまった。
その後、針治療なども行い、
生活に関する注意事項を聞き、
今後は前田さんの治療方針に従っていくことになった。