馬賊に関する本(2)

日本人馬賊王小日向白朗について書かれた「馬賊戦記」だが、
東北で頭目にのし上がるまでの話はもちろん、
上海で乞食を手なづけて誘拐事件を解決する話など
実に痛快で面白い。
同じく日本人で馬賊頭目になった人で、
壇一雄の「夕日と拳銃」のモデルとなった伊達順之助という人がいる。

この人は伊達政宗の末裔で、
馬に乗りながら拳銃で電線を切るほどの銃の名手だった。
最後は銃殺刑で、いわゆる「笑って刑場の露と消えた」らしい。
こういう死に方は、日本人には潔く男らしく感じられる。
一方、小日向白朗も投獄されたが、
様々な手段を講じて刑を逃れて、日本に帰国、
50代で初めて結婚し、昭和30年代後半まで生きていたらしい。
「死んでも何にもならない。生き抜くべきだ。」
という姿勢は、やはり若くして中国に渡って培われたものだろうか。
私は、個人的には小日向白朗の姿勢が好きだ。