チョコレートコスモス

生徒さんがまた本を貸してくださったのを、
早速読んだ。
チョコレートコスモス」である。

最初は何の話かよくわからなかったが、
舞台の演技の話であることがわかる頃には、
引き込まれていた。
主人公の女の子を巡るオーディションの描写は面白い。
最後の舞台対決は圧巻である。
武術の試合やジャズのセッションのような緊迫感があった。
演技の深さとはこういうものなのか、ということを知らされた。
私は人生で舞台に立ったのは、
幼稚園のお遊戯の「さるかに合戦」のサル役と、
国語学校の学芸会での「西遊記」の猪八戒役の2回だけだ。
いずれも主役と準主役の重要な役柄だったわけである。
しかし私は演技というのは見るだけでいい。
もともとそう思っていたが、
この作品を読んで、
役者というのは天分に加えて
方向性のあまりよくわからない努力をしなければならない、
ということがわかり、さらにその思いを強くした。