風が強く吹いている

また生徒さんから本を寄贈していただいて、
1週間ほどで読み終わった。
三浦しをん「風が強く吹いている」である。

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

素人の寄せ集めの弱小大学陸上部が、
わずか1年で箱根駅伝を目指すという話である。
読み始めてすぐありきたりだと思ったのに、
どんどん引き込まれてしまった。
登場人物のそれぞれが魅力的で、
かつ長距離走や駅伝に関するディテールが、
迫真性を持って飽きさせない。
いつもなら2,3日で1冊読む私が
1週間もかかって読み終えたのは、
そういうディテールをじっくり読んだからである。
私はこの作家の作品を読んだのは初めてだが、
取材の深さと筆の力に驚いた。
笑えるところもいくつもあるが、
明るさとともに感動もある。
映画やドラマにぴったりの作品だなと思ったが、
調べてみると、やはりすでに映画になっていた。仕事の影響もあってか、
ここのところ日本の若者に対して絶望的な気分になることが多いので、
フィクションであっても若者が真剣に努力する姿は、
ことさらほっとさせてくれる。