前田さんのこと(4)

実家ではなく、
彼の住んでいたマンションの部屋にも行ったことがある。
ワンルームだったと思うが、
所狭しと薬品や本や健康関連と思われる器具などがあった。
彼は自分の技量を高めるため、
整体などの師匠について修行中であった。
また、絶えず面白い技術はないか、
面白い人はいないかとアンテナを立てている頃でもあった。
私の知る分野についても話したし、
彼からもいろいろな話を聞かせてもらい、
ずいぶん刺激を受けたものだった。
まだプロとして開業する前であったが、
彼が私の家に来て、私の身体を調節してくれたこともあった。
その時、「50代くらいで座骨神経痛がでますよ。」
と彼に言われた。
現在、私はまだ50にはならないが、
すでに少し兆候が現れている。
当時はわからなかったが、
太極拳をするようになって、
自分の身体の使い方が偏っていることに気付いたのである。
もちろん現在、
正しい身体の使い方やバランスを心がけているが、
当時すでにその癖を見抜いていたのだから、
やはり彼の技術は大したものである。