達人に会う(1)

これまで、達人と呼べるような人に会った経験が、何度かある。
今後、そうした経験を不定期に紹介しようと思う。
最初に、以前にHPで書いたことがあるのだが、
空手の芦原英幸先生。
今から25年ほど前、京都の予備校に通っていた私は、
全くの偶然ながら、芦原先生に会ったことがある。
河原町から京阪三条の方へ歩いていたとき、
向かいから、体格の良い濃紺のポロシャツを着た人が歩いて来た。
普通の体格の良い人のレベルではない、何か分厚い存在感があり、
通り沿いの店に並べてある小間物を見ておられたが、
鋭い目つきで剣呑な雰囲気があった。
すれ違うときに、ポロシャツの胸に「芦原」と見えたと思う。
私の小学生時代から高校生時代まで、
芦原英幸と言えば、ヒーローであった。
空手バカ一代」の「ケンカ十段」として、
友人の間で知らぬ者はなかった。
その人が目の前にいたのだから、
芸能人に会った時よりドキドキした。
もちろん、話しかけることなどできなかった。
高校時代には、
同級生の中に大阪球場芦原道場に通っている者もいた。
私も通いたかったが、親に許可してもらえなかった。
後年、結婚してから、
ある程度自由が効くようになって、
芦原先生の系統の空手を習いに行ったのも、
やはりその時の思いがあったからかもしれない。