早朝の不気味な出来事(1)

昨日書いた学生時代に朝ジョギングしていた頃のこと。
山手線大崎駅近くの線路をまたぐ歩道橋があった。
毎朝走っている時には、その歩道橋を渡って品川埠頭に向かって行く。
ある朝、歩道橋の半ばまで来たときに、
突然女の絶叫のような泣き声が聞こえた。
どきっとして見ると、歩道橋の下の道路を
一人の女の人が走って叫んでいる。
「よしおさーん!よしおさーん!」
距離があるので顔はよく見えないが、
年は40代から50代くらいだったと思う。
その人が走っていく方向の先を見たが、誰もいない。
なんか不気味だなあと思いつつ見ていると、
その女は歩道橋の下で、突然立ち止まり、こちらを見た。
あっ、しまった!目が合ってしまった!
遠くて顔はよくわからないのだが、
相手がこちらを見ているのがわかる。
すると女はこちらを見ながら、
「よしおさん?」と聞く。
私はあわてて首を猛烈に横に振る。
すると女は、チッと舌打ちして、
泣き声混じりの絶叫で、
「よしおさーん!」と言いながら、
道路を小走りに走っていった。
さわやかな朝でも不気味なことはあるものだ。