早朝の不気味な出来事(2)

サラリーマン時代にも、朝走っていた時期があった。
朝まだ暗い5時半頃に寮を出る。
近くに川があり、河原は格好のジョギングコースだった。
小一時間走って寮に戻り、食事をして出勤する。
寮は会社の道路を挟んで向かい側にあったので、
出勤には5分とかからない。
ジョギングコースの川には橋が架かっており、
橋の向こう側にはJRの駅があったので、
寮に住んでいない社員の人は、みんなその橋を渡って出勤する。
ある朝、いつもと同じようにジョギングを終えて、出勤した。
社内でみんなが「あれ見たか?」と騒いでいる。
何のことかと聞いてみると、自殺があったという。
それが何と、出勤で通る橋で首つりが見つかったのだという。
私がその朝走ったときには、橋には人は集まっておらず、
騒ぎになっていなかったし、暗くてわからなかったが、
おそらく首つりはなかったように思う。
時間から考えると、私が通った後に
その人が首をつった可能性が高いように思われた。
自分が自殺発見者でなくてよかったとも思ったが、
いずれにせよ、自分のほぼ毎日通るところで、
そんな事件があったと知って、慄然とするものを感じた。