永山君のこと

長く会っていないが、毎年年賀状をくれる友人がいる。
永山君はその一人だ。
彼は北京語言学院に短期留学したときに出会った人だ。
お互い大学生だったのだが、
今時こんな大学生がいるのか、と思うような人だった。
いわゆる右よりの人で、武士道を信奉していた。
そんな人がなぜ共産主義国である中国に留学したのかわからないが、
ただ、彼は非常に純粋で、かつ人なつっこい性格なので、
あちこちで出会う中国人とすぐうち解けて友達になる。
たかだか1ヶ月の短期留学中に、
二人の中国人と義兄弟になったほどだ。
そのうちの一人は天津の人だったと思うが、
留学が終わる日にわざわざ永山君に会いに来て、
涙ながらに別れを惜しんでいたので驚いた記憶がある。
北京留学中に彼と道を歩いていたときに、彼が
「歴史上の人物で誰が好きか?」と聞くので、
何の気なしに「吉田松陰」と答えると、
大声で「君も松陰先生が好きなのか!」と言うので、
びっくりしてしまったことがある。
戦時中には吉田松陰が思想的に利用されたことがあったらしいが、
私自身は、吉田松陰の人柄の純粋さと教育者としての面を尊敬している。
後に、彼はその短期留学で同じ仲間だった女性と結婚した。

この印象深い永山君が本を書いて出版したことを年賀状で知った。
また年明けの新聞でも広告が出ていた。

私はまだ読んでいないので、何とも言えないが、
また彼に会っていろいろ話してみたいと思っている。