満族文字

かなり以前、北京に行って名所旧跡を見た際、
建物の入り口の上の方に、建物の名前を書いた額が掛かっていた。
例えば「大雄宝殿」と漢字で書かれているのだが、
それに並んで横に見たことのない不思議な文字が書かれていた。
一緒にいた中国人の先生に「あの文字は何ですか?」と尋ねると、
「あれは満族の文字です。」と答えてくれた。
清の時代の支配民族である満族の文字だったのだとわかった。

去年の年末、中国人学生に日本語を教える授業で、
どういうわけでそんな話になったのか忘れたが、
ある学生が「私は満族なんです。」と言った。
私も、周りの中国人学生も「へえ、そうなの。」と驚いた。
興味があったので「あの不思議な文字を読めるの?」と聞いたが、
「読めません。」とのことだった。
満族の人に会ったのは初めてだったので、印象深かった。

数日後、専門学校で日本人学生に中国語を教える授業で、
満族の学生に会った、という話をした。
するとなんと、「私も満族です。」という生徒がいた!
そのクラスには、親が中国人の生徒が数人いるのだが、
そのうちの一人だった。
高校生の時に兄から満族であることを教えられたという。
やはり満族文字は読めないらしい。

中国に行けば、文字を理解できる人がいるのだろうが、
やはり少数になっているのだろうか?