悪果

先日生徒さんから数冊本をお借りした。
その中の1冊が黒川博行の「悪果」であった。

悪果

悪果

黒川作品はこれまでいくつも読んでいる。
この作品も以前読んだことがある。
しかし、今回また読んで、数日間読みふけった。
話の内容は、暴力団の賭博捜査に関わる刑事のことだが、
圧倒的なのはそのリアルさである。
もちろん、私は本物の刑事の捜査がどんなものであるのか知らない。
しかしこの作品には、
本当はこんな風なのだろうなと思わせる筆の力がある。
その情報量の多さと細かさは、
作者がいかにこの世界について詳しく取材し、知識があるかを窺わせる。
また、大阪近辺の地名や交通、町の描写、そしてリアルな大阪弁の会話は、
大阪生まれで大阪育ちの私には、
作品全体のリアルさがさらに迫真性をもって感じられる。
痛快な小説とは言えないが、十分な読み応えのある作品である。