誉めること

教室の忘年会で、ある生徒さんに
「先生は、生徒を誉めてその気にさせるのが上手い。」
と評価していただいた。
正直、少し驚いた。
自分ではそんなことは意識していなかったからだ。
しかし、誉めることの意義は知っていた。
以前出版社でアルバイトしていた時の経験があったからだ。
そこでは建築部材のカタログを作っていた。
私は、校正を担当していた。
物が建築部材だけに、
寸法や色など細かい点で間違うわけにいかない。
私にその仕事の指示を出していたのは、
私より1歳年下の正社員の人だった。
この人が大変な誉め上手だった。
私も真剣にやったし、細かいところまで間違いを見つけ出し、
うまく仕事をこなした自信があった。
そこへもってきて、仕事の成果を見せるたびに、
「すごい!」とか「この仕事向いてるよ。」とか
「すばらしいな!」など具体的に事例を挙げて誉めてくれた。
おかげで私はますますやる気になったし、
このアルバイトはとても楽しかった。
人を誉めることは、人をやる気にさせるし、
能力を伸ばすことも出来る。
私自身は、誰にでもいつでも誉めるわけではない。
生徒さんの努力の結果、それが成果として現れたときに、
小さいことでも自然に誉め言葉が出る。
私の仕事にそれが生きているのならば、
当時のアルバイト先の正社員の人に感謝すべきであろう。