花まんま

今朝の新聞広告に、
朱川湊人氏の直木賞受賞作である、
「花まんま」が文庫化されたことが載っていた。

花まんま (文春文庫)

花まんま (文春文庫)

以前書いたように、私の友人である朱川氏は、
「泣けるホラー」の旗手である。
代表作「花まんま」には
全て関西弁による短編小説がいくつか収められている。
この中で私が最も好きな作品は、「トカビの夜」だ。
これは、主人公が子供の頃に出会った、
在日韓国人のともだちとの哀しい交流を描いた作品である。
私も子供を持つ身になってから、
こうした作品の悲しさがより切実に伝わってきて、
涙腺が弱くなってきたことを感じざるを得ない。
朱川氏の作品には、かなり不気味なものもあるが、
個人的に氏を知る者としては、
怖い話の中の切なく哀しいストーリーにこそ、
彼という人を表す真骨頂の作品であると思っている。