今野敏「天を測る」を読んだ。
今野作品は、
警察ものや武道ものが多いが、
時代小説は珍しい。
主人公は小野友五郎という人で、
幕末の算術家、海軍軍人、財務官僚。
幕臣で咸臨丸に乗って渡米している。
徹底して論理的な実務派で、
能力の高さに米国人も感服したという。
私は小学生時代に、
幕末の有名な人物の伝記を読んだ。
そういう人たちのイメージが、
この本で異なる視点で見られる。
勝海舟は自分を大きく見せたい人。
福沢諭吉は学問好きながら軽薄。
坂本龍馬はゴロツキの親玉など。
勝海舟の伝記では、
頭の固い官僚とされていた、
小栗上野介が優れた実務派とされる。
小学生向けの伝記では、
良く書かれていて当然だが、
幕末の英雄とされる人たちを、
異なる角度から考えられるのは、
面白いことだ。