小松左京「くだんのはは」を読んだ。
「くだん」は「九段」ではなく、
「件」と書く。
「事件」の「件」なわけだが、
この字は「人偏」に「牛」と書く。
江戸時代に現れた予言をする妖怪である。
頭が牛で体は人間の女性で、
「牛女」ともいうようだ。
太平洋戦争の敗北を予言したとも言われるし、
数十年前の目撃談もあるという。
神戸あたりに目撃談が多く、
神戸出身の小松左京が人から聞いた話をもとに、
この小説を書いたのだそうだ。
私の好きな怪談の分野でも、
以前から目撃談の話は聞いていた。
妖怪なのかもしれないが、
一種奇形のような悲しい話である。