友人の朱川湊人氏の「狐と韃」を読んだ。
古典の説話文学「日本霊異記」をもとにした短編小説集である。
8編の小説が収められている。
泣けるホラー作家である朱川氏ならではの不気味な作品もあるが、
最後の2編は私のとって感動の小説であった。
「第七話塵芥にあらず」と「第八話舎利菩薩」である。
もともとの出典となった話は知らないが、
第七話は唯一の友人のために、
友人を殺した相手に一矢報いようとする男の話。
そして第八話は異形の子として生まれた女児が、
立派な私度僧になって菩薩と呼ばれるようになる話。
どちらも胸に迫る泣ける話なのである。