症状

母に認知症の診断が出て数ヶ月になる。

幸い日常で特に不都合なこともない。

徘徊もしないし暴言もない。

勿論暴れたりもしない。

日常会話も支障のない程度にはできる。

ただここのところ顕著なのは、

10年前に死んだ父がまだ生きていると思っていることだ。

最初にこの症状が出たとき、

家内は父が死んだことを教えて、

母もすぐそれに気づいたが、

最近はそれを指摘しないほうがいいと聞き、

調子を合わせるようにしている。

母がかんたんな夕食を準備して、

父がまだ帰ってこないなどと言うのだ。

人間が年をとり、

衰えていくというのは、

こういうことなのだな、

とまさに目の辺りにする思いである。