悪臭

少し前に、

家内と家内の実家の神戸に行った。

いくつかの用事があって行ったのだが、

途中にJRの快速に乗った。

乗客はさほど多くなく、

我々は座ることができた。

途中の駅を過ぎたあたりで、

突然悪臭がした。

何だこれはと思って周りを見回すと、

私の斜め後ろの席で、

ホームレス風のおじさんが座っていて、

そのおじさんの匂いだと思った。

最初はそれが分かっただけで納得したが、

だんだんその悪臭に耐えられなくなった。

目的地までにまだ何駅もある。

修行でもないので、

これに耐えなければならない理由はない。

我々は車両の前の席に移った。

本人が匂いに気づいているかどうかはわからないが、

あれはなかなか無形の凶器とも言えるものだ、

と思ったことであった。