ハーフマラソン大会会場で、

鍼灸師の人たちが無料で施術をやっていた。

とはいうものの鍼ではなく、

ツボに貼るパッチのようなものである。

呼吸が楽になるツボや痛いところに貼ってくれるのだ。

何人もの鍼灸師さんがいて、

また施術を待つランナーも何人もいた。

並んで順番を待っていて自分の番になった。

膝のあたりの少し痛む場所と、

鼻と喉の呼吸が楽になるツボにパッチを貼ってもらった。

それで終わりだが、

少し面白いことがあった。

私が当たった鍼灸師さんは60代くらいの男性だった。

その人が痛む場所を探る際に右の指で探るのだが、

左の手先は微妙に震わせて、

右の指で痛む場所を的確に当てるのだ。

その左手先の動きが気になったので聞いてみると、

人間には誰でもそういう力があるのだ、

というようなことを笑って言われた。

恐らくOリングテストのようなものだろうと思ったが、

何しろ痛む場所を当てるのが的確なので驚いたのだ。

ちょっと達人に会ったような経験だった。