べらぼう村正

都筑道夫「べらぼう村正」を読んだ。

時代小説である。
家族に冷遇され、
若くして隠居させられた旗本の主人公が、
隠れて身を売る女たちの住む長屋に住み、
女たちの用心棒をするという話。
ほぼ武士を捨てた主人公にとって、
刀は門者である必要がなく竹光である。
しかしその竹光である程度相手を切ることもでき、
長屋の住人たちが巻き込まれる、
様々な事件を解決する短編が6編ある。
江戸の底辺で暮らすものでありながら、
人情ものと言っていい作品の感じがいい。
肩の力の抜けた主人公の姿勢もいい。
都筑道夫作品はもっと読みたい気がする。