村上海賊の娘

和田竜「村上海賊の娘」を読んだ。

村上海賊の娘（上巻）

話題作である。
織田信長の時代に、
一向宗をめぐって信長と毛利が戦う。
その戦いのカギを握るのが、
村上海賊を中心とする海賊たちである。
ここのところ、
隆慶一郎の作品をいくつか読んでいたので、
読み始めるとその違いが気になった。
ともに資料に基づいて書かれている時代小説には違いないが、
「村上海賊の娘」の方は、
登場人物の会話がいかにも現代的なのである。
随所でいわゆる突込みが入るのだ。
今でこそ漫才口調は当たり前に使われているが、
おそらく戦国時代にはこんな会話はされてなかったのではないか。
そんな違和感を持ちながらも読み進み、
後半になると戦闘場面に夢中になっているのに気付いた。
主人公の海賊の娘が活躍し、
周囲の人物のキャラクターも面白い。
やはり話題作なりの吸引力があるのだ、
と納得させられた。