わたしを離さないで

カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」を読んだ。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

生徒さんに勧められて読んだ。
それまではてっきり恋愛小説だと思い、
手を出さなかっただろう。
ある施設で子供たちが生活している。
教育を受け、
図画工作には特に力を入れている。
子供時代や学校生活でありがちな、
日々の模様が描かれている。
しかし成長するにつれ、
異常な社会状況や、
彼らが育てられる目的が明らかになる。
いかにもありがちな日常の様子や、
ちょっとした心理描写がとてもリアルで、
淡々と進んでいくため、
SF的設定にいつの間にか入り込んでしまう。
作家の力がよくわかる悲しい小説であった。