今日からは、愛のひと

朱川湊人「今日からは、愛のひと」を読んだ。

今日からは、愛のひと

今日からは、愛のひと

明るい本の装丁、
若者の独白調で始まる軽い文体、
朱川湊人ならではのツッコミ満載の会話がありながら、
とても感動的な小説である。
金なし、家なし、職なしで、
家族と縁がない若者が主人公である。
ちょっとしたきっかけで、
同じような若者たちと、
思いもよらない楽しい共同生活を送る。
しかし最後には予想もしなかった展開を迎える。
思いもよらない発想に驚くと共に、
とんでもないファンタジーの設定があり、
だがファンタジーだからこそ描ける、
たいへん重いテーマを感動的に表現している。
いくつかある好きな朱川作品の中でも、
これは白眉の1冊である。